本当にあった親不知抜歯の怖い話⑨
【2022年3月2日】
窓際の部屋は段々と明るくなり初め、身体を揺らし続けて三千里(年代ばれる)、気付くと妻からLINEが来ている。
『何か欲しいものはあるか?』と言われて水と頼んだが、10本は流石にいらない。。。
思わず笑ってしまい、笑えるくらいまで回復した事に少しだけ驚いた。
それと、無性にチョコが食べたくなりチョコを頼んでみた。
朝から血液検査や先生の診断などをこなしていたが、咽周りの管が1本抜けた事で少しだけだが唾を飲み込む事が出来るようになった。
また、性器に入れてあった管も無事に摘出された事で、ストレスから解放され自分でトイレに行く事が出来る様になった。
※無事に尿も出てホッとした。。。
15時過ぎに妻が荷物を持って来たと連絡があったので、エレベーター近くの休憩所まで歩いて行くと多少の気怠さはあるがスタスタと歩ける。
休憩所で座って待っていると、妻が病室の受付まで歩いて行くのが見え、暫くすると帰って来たので私も合わせてそっちに向かうが、コロナ真っ只中なのですれ違う事しか出来ず、久しぶりに交わした会話と妻の顔を見た安心間からか号泣してしまった。
部屋に戻ると見慣れたかばんが置いてあり、開けると水とチョコと着替えが入っている。
着替えを棚にしまいながら最後にチョコを取り出し、パーティーパックの大きさに困惑しながらも一枚食べるとあまりの甘さにほっぺがとても痛くなった。
泣きつかれたのか、妻の顔を見て安心したのか気付くと寝ていて、配膳のお姉さんの勢いあるオープンカーテンに目を覚ますと、目の前に食事が運ばれてきた。
左から10分粥・暖かいプリン・味噌汁と流動食ではあったが、久しぶりに口から食べる食事はとても美味しく身体に染み渡るとはこの事。
食事後は母親に生存報告をして、Jリーグで応援している川崎フロンターレの試合をやっていたので、観戦しながらゆっくりと過ごす事が出来た。
そして少しの時間ではあったが、キチンと睡眠を取れた事が良かったのか、手術の麻酔やら薬の影響が無くなったのか、精神的に回復したのかは分からないが、あれだけ苦しめられた幻覚はそれから一切見なくなった。
試合を見終わると、眠くなり一応診察した時に貰った眠剤を飲んでみると驚くほどよく眠れた。
【2022年3月3日】
起床すると血液検査の為、採血された。
※注射の時は終わるまで針をジッと見つめている派です。
因みに検査結果はコチラ↓
白血球の数値が35-85が平均値の中、118と見事に異常な数値を見せている。
※因みに入院時の数値を見たら185だった。。。
また、CRP値(血液中のたんぱく質の一種らしい)も0.3以下が平均値の中、3.42とかなりの数値を叩き出していた。
担当先生に色々と丁寧に説明を受けたが、専門的過ぎてあまり理解出来なかったので下記に要約させて頂きます。
【身体の状況】
親不知を抜歯した事が直接の原因かは不明だが、トリガーになった事は間違いない。
抜歯部分から菌が入り込み、炎症を起こしたのちに膿を発生させた。
緊急手術になった経緯として、膿が心臓付近まで下りてきたいたらしく、そのままでいると心臓にまで悪影響を及ぼし、最終的に死に繋がる病気だったとの事。
※手術して発覚したが、唾液線に石が溜まり唾が出にくい事も影響があったらしい。
病名:頸部膿瘍(けいぶのうよう)
中々ないケースらしく、先生も論文を探してみたが数年前は致死率50%、現在でも40%くらいはあるとの事。
※後日、妻が自分の通っている口腔外科の先生に私の事例を話したところ、約30年の医者人生で、2回しか出会った事の無い事例だと真顔で言われたらしい。
私の中で生死を分けた分岐点は二つある。
①2月24日の時点で救急車を呼んで入院出来た事。
※我慢や放置していたら間違いなく手遅れで死にかかわっていた。
②首が平均値より長い体質だった事。
私の首は人より長いらしく、そのお陰で膿が鎖骨付近で止まる事が出来た。
しかも通常ではメスを一か所しか入れる事が出来ないところ、二か所入れる事が出来た事により膿を取り出す時間も早く、術後の管も二か所入れられたので通常より早く回復出来た。
※もし首が短ければ、心臓付近まで膿が広がり胸や肋骨を切開したりと大掛かりな手術になっていた可能性が高い。
先生の話しを聞いた後、全身に鳥肌がブワッと出たのは言うまでもなく、同時に首を長く生んでくれた母親に感謝しました。
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