本当にあった親不知抜歯の怖い話⑦
看護師さんが部屋から出て行った後は放心状態だった。
何日か振りに上半身を起こしたのもそうだが、頭の中が揺れている感じがして非常に気持ち悪かった。
※ベッドのリクライミングでは起きていたが、自力で起きるのとは段違い。。。
そして、このまま一般病棟に戻っても確実に状況は悪化すると思った。。。
現状は一人部屋でこの状況だが、一般病棟へ移動したら4人部屋でこの状況になると考えたら背筋が凍りつく。。。
すると、コンコンと部屋をノックされ白衣を着た男性が入って来た。
先生にこんにちはと言われ、体調や気分など色々質問され、私の一般病棟への移動が決まり、次々と看護師さんが入るとあっという間に連行されていく。
道中、ベッドで寝たまま集中治療室から出て一般病棟へ運ばれていく中、不安と身体の不調から茫然としていた。
何も考えられないと言うよりは、思考が停止していたのだと思う。
エレベーターのドアが開くと病室は8階だった。
周りは既に暗くなっている。
手術前は窓際の新しめの部屋の記憶があるが、部屋が変わったらしく4人部屋の入口側で少し古い部屋になっていた。
看護師さんに初期設定(コードやらケーブルやらの配置)をしてもらい、再度一人になったとき、思い出したようにみぞおちが痛み出し、苦しさに耐えきれずふと天井を見つめると、天井の模様が動き出している事に気付き溜息が出る。
また、幻覚が見え始めた。。。
線の様な模様は絶え間なく動き続けている。
身体を動かす気力が無い私は暫く天井を見つめていたが、やがて線は動くだけではなく形になっていった。
線は段々と顔になっていき最初は何に変化しているのか分からなかったが、よく見ていると漫画のワンピースのキャラクターやNARUTOのキャラクターによく似ている劇画風なタッチの顔に変化していた。
コレばっかりは画像が無いので想像して頂くしかないが、あくまで似ている風のキャラクターなので著作権には引っかからないだろう。。。笑
器用?な事に画像の照明部分は目の役割をしながらソコを起点に周りが変化していき、一つの絵を完成させている。
キャラクターは一つや二つではない、数々の作品の数々のキャラクターが次々と、完成しては消え完成しては消えと、絶え間なく天井のキャンパスに描かれていった。
最初こそは興味本位で見ていたが、あまりにも永遠に目の前で繰り広げられる異常な光景に飽き飽きし、逃避する様に目を閉じると彼女?が待っていた。
前回の話しにも登場した、リンゴの着ぐるみ?みたいなのを着た渡○○美に良く似た体系の妖精。。。が目の前で激しくおどっ。。。
再び目を開けると、線は劇画風の顔では無く違う形に変わっている。
今度はアニメーションが展開されていた。
説明が非常に難しいが、線は簡易的な人になり犬になり熊になり、昭和な感じのモノクロアニメーションが今度は展開されていた。
天井全体が雪山みたいな感じに描かれていて、人が物資を載せたソリを引きながら、その横を犬や猫や動物達が音楽隊みたいに連なって一緒に登っている。
やがて頂上の山小屋に到着し、みんなで祝杯をあげている。
一つのストーリーが終わるとまた違うストーリーが始まり、舞台は山になり海になり、色んな動物が出てきては只々動いている。
劇画風とモノクロ、目を開けている内はこの二つが交互に上映され、目を瞑ると妖精のダンスショーと、休む暇もなければ意志も関係なく繰り広げられる終わりのない光景に、私は肉体的にも精神的にも疲弊してしまった。
幻覚を見ている間もみぞおち付近の原因不明な痛みに苦しみ、唾液は術後の影響で飲み込む事が既に困難な為、簡易的な吸引機で常に吸い出している。
今まで経験した事の無い痛みと異常な目の前の光景に大袈裟でも何でもなく、人生で初めて【死】を覚悟した。
⑧へつづく
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