本当にあった親不知抜歯の怖い話⑥
③幻覚が見え始めた。
一応断っておきますが、私はそういう系の薬の経験は一切無いので、最初は気のせいかと思ったが、最初にオカシイと気付いたのは食事のビタミン剤の投入が終わり、部屋に一人にされ苦しみに耐えながら目を瞑った時だった。
当たり前の事を言うが、目を瞑ったら目の前はどうなる?
真っ暗になると思う。
でも、この時の私は違った。
目の前は赤い絵の具で塗りつぶしたみたいな真っ赤な背景になり、その中心にモジモジ君(年代バレるな。。。笑)の様な全身タイツを着て、リンゴの着ぐるみ?みたいなのを着た、渡○○美に良く似た体系の人が激しく踊っていた。。。
コレを読んでいる物好きなアナタは『コイツは何を言っているのだ?』と思った事だろう。
大丈夫、当時の私も最初に見た時は頭の中が???でいっぱいになった。
思わず目を開け、一度冷静に考えてみる。
試しにもういちど目を瞑るが、全く同じ背景で全く同じ人?(当時は妖精だと思っていた)が兎に角激しく踊っていた。
なんの踊りかは不明だ。
話してくる訳でも無く、絵面が変わる訳でも無く、ただひたすら激しく踊っている。
無論、私に拒否権は無い。
この現象が、この時を境に目を瞑ると自動的に永遠に流れ続けた。
目を瞑らなければいいのでは?
気合で起きてればいいのでは?
私も最初はそう思った。。。
しかし、幻覚が見えたのは目を瞑っていた時だけでは無かった。
目を瞑っている事にとうとう耐えられなくなり目を開けると、寝ているので自動的に目線は天井を見る事になる。
パネルだったのか壁紙だったのかは定かでは無いが、画像の様な模様が付いてるタイプの天井だった。
画像の天井部分を見てもらうと分かるが天井には模様が付いている。
目を開けた私は暫く天井を見つめていたが直ぐに異変に気付いた。
天井の模様が動き始めたのだ。
※改めて言うが、私はそういう系の薬の経験は一切無い
線状の細長い模様が最初は1本動き始め、私の視線の範囲内で天井を徘徊している。
それはやがて、2本になり3本になり段々と増えていった。
最初こそ見た事のない光景に多少の面白さも感じ、それをずっと見ていた。
だが、次第にその異常な光景に気持ち悪さを感じ始めたので再度目を瞑ると、渡○○美が待ってましたとばかりに踊り狂う。
地獄のような光景見ながら、みぞおち痛を抱えて唾液を吸引機で吸い取るを繰り返す。
あまりの辛さに只々、耐えるしか出来なかった。
看護師さんからは朝の段階で、先生の診断次第だが恐らく一般病棟へ今日中には移動になると思いますと言われていた。
私自身何かすがるものが欲しかったのか分からないが、一般病棟に移ればこの辛さはからは解放されると思っていた。
今思えばそんな事は決して無いと思うのだが、一般病棟への移動をモチベーションに耐えに耐えた。
看護師さんが来る度びに『先生はいつ頃来ますか?』と尋ねていた気がする。
身体は重く、動く気力すら無くなり、みぞおちの痛みからか身体はびっしょりと汗をかき、地獄に耐えるのも限界が来ていた。
時計が15時を過ぎた頃、看護師さんが部屋に入って来た。
『一般病棟に移る前に身体を起こす練習をしなければいけないのでやりましょう!』
しかし身体に力が全く入らない、身体を起こす事も自分の意志では出来ない状況に2人いた看護師さんの一人が『この状態では一般に移すのは無理では。。。?』と言っていた事をよく覚えている。
それでも看護師さんのサポートを得て何とか身体を起こし、足を座りながらではあるが地面に付ける事に成功した。
しかし、ここまで自分の身体が動かない事は戸惑いと焦りを植え付けた。
その時に感じた事はハッキリ覚えている。
『一般病棟にこのまま移っても状況は何も変わらない。』
⑦につづく
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